その質問は、意外と死角

現在は絶賛休暇中ですが、即売会イベントで今も悩むおもしろい質問をされたことがあります。

 

「あなたの作品の中で、一番おすすめなのはどれですか?」

 

そうくるか。

 

目の前に惜しげもなく性癖をさらす本を飛び越えて私にくるか。

 

質問されること自体は慣れていますし、怒るようなものではありません。

むしろ「読んだら地雷でした!」と言われるよりはそうやって自衛していただいたほうが嬉しいです。

 

とりあえずあまりに質問がざっくりだったので

「どんな作品がお好みですか? 私はこんな作品を書いています。

ハッピーエンドやバッドエンド、18禁や全年齢などございますが」

というところからカウンセリングしその場はスムーズに済んだものの、

その質問は印象的に私に残りました。

 

私のおすすめとはなんだろう。

 

それだけは考えたことはなかった。

 

基本的に私は「印刷するんだからきちんと作りたい」という意味で

作品を完成させることを楽しみにしています。

 

完成度は高いに越したことはない、というモチベーションでやってきました。

自分が好きだと思った作品で、文章の完成度を上げるために頑張ろうと。

 

残念ながらどう控えめに見ても「すべてがおすすめだ」と自惚れるほど

私のメンタルもフィジカルも強くありません。

 

確かに個人的な完成度において「アタリ・ハズレ」は存在します。

ですが、生意気なことを申し上げればその不調を見せないよう

本にまとめるのがいわゆる「技術力」ではないかと思います。

 

私の技術力はまだそこに立てるほど優れてはいませんし

出来不出来に波はまだあるものの……

少しずつましになっては来ていると思います。

 

文字は絵と違って視覚に訴えるインパクトの情報が乏しく、解りにくいため自分の立ち位置を見失いがちです。

また、適当にでさえそれなりに書き上げてしまえばそれなりに成立してしまう、恐ろしい分野です。

 

あえてそれを利用した取り組みもしてきましたが、非常にリスキーであり、何度もしたいとは思いません。

 

どんな有名で素晴らしい本でも、好きな人と嫌いな人がいるでしょう。

二次創作なんてそれこそ劇薬です。特に扱いには注意しなくてはなりません。

 

「あなたのおすすめは?」と聞かれてどの作品も「好みさえ合えば、おすすめできます」と

おじけず答えられるような本が作れたら、幸せだろうなと思います。

 

いまだ正解は見えずおすすめとはなんぞやと悩みつつではありますが

「頑張って、うまくなろう」と再確認できた、とても素敵な質問でした。

 

まあ……とはいえ行列ができるようなサークルさんではそんな暇はないでしょうし

ほかのサークルさんがどう思っているかは知りませんのであまり大きな声でお勧めできませんが

私の場合は気になるなら相談されたほうがありがたいです。

買うか買わないかは話をしてからでも遅くはありません。

実際相談してお断りもされますのでお気になさらず。

 

いいんですよ、話しかけても。

 

とって食うわけじゃないんだから!!